第136回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

遺伝・育種部門[Forest Genetics and Tree Breeding]

開始時刻 ポスター発表
講演番号 PF-1
発表題目 近畿地方の里山におけるコナラ集団の遺伝的特性と人為的影響の検討
Genetic characteristics and considering of Anthropogenic Influences of Quercus serrata in Satoyama in the Kinki Region
所属 東京大学
要旨本文 里山林は生物多様性保全の観点から注目されているが、生育する樹木の遺伝的多様性は十分評価されていない。また里山林は伐採や火入れが行われ、物資の往来や樹木の商業利用の盛んな地域では種苗が持ち運びされうることから、地域の遺伝構造にその影響がみられる可能性がある。そこで、温帯の里山林を特徴づける種であるコナラについて、人間活動の影響を考察することを目的とし、滋賀(8)・京都(3)・兵庫(6)の計17ヶ所の里山林のコナラ199個体について葉緑体SSRマーカー6座を用いて遺伝構造を明らかにした。全体で8ハプロタイプが検出され、分布に一定の地理的なまとまりが見られた。ハプロタイプ多様度の集団平均は滋賀県で他県より高かった。また他種で最終氷期のレフュージアとされている丹後半島の集団のハプロタイプ多様度は低かった。集落の人口と火入れ管理の有無はハプロタイプ多様度に関係しなかった。滋賀県内では主要街道の朽木街道に近い5林分で複数のハプロタイプがみられたが、街道から離れた2林分は1つのみが見られた。このことから、ハプロタイプ多様度が街道からの距離の違いに関連する可能性があり、今後より詳細な解析が必要と考えられる。
著者氏名 ○三上夏生 ・ 齊藤陽子 ・ 日浦勉
著者所属 東京大学大学院農学生命科学研究科
キーワード 遺伝構造, コナラ, 里山
Key word genetic structure, Quercus serrata, Satoyama