第136回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

遺伝・育種部門[Forest Genetics and Tree Breeding]

日付 2025年3月21日
開始時刻 ポスター発表
会場名 学術交流会館(第一会議室)
講演番号 PF-3 (学生ポスター賞審査対象)
発表題目 一塩基多型を用いたサワラ集団のクローン構造の解明
Clonal structure within a Chamaecyparis pisifera population revealed by single nucleotide polymorphisms
所属 名古屋大学
要旨本文 植物には有性繁殖だけでなく無性繁殖を行う種が存在する。ヒノキ科ヒノキ属のサワラもその一種であり、伏条による栄養繁殖を行うことができる。一般に、植物の栄養繁殖はその種の生育にとって不利な環境下で多く行われることが知られている。本研究では、サワラ集団のクローン構造を明らかにし、集団の成立過程について考察した。長野県野辺山の筑波大学川上演習林内に設置された、天然生のサワラが優占するプロット(40 m×80 m、標高1420 m)を調査地とし、毎木調査と葉の採取を行った。抽出したDNAからMIG-seq法でSNPを検出し、ジェネットの同定を行ったところ、合計367幹[成木(DBH≧5 cm):130幹、稚樹(DBH<5 cm、樹高≧30 cm):237幹]から249のジェネットが同定された。成木段階と稚樹段階で比較すると、それぞれジェネット数は46、211、GN比(ジェネット数/幹数)は0.354、0.890であった。成木では2幹以上からなるジェネットは26存在した。最も大きなジェネットは、成木28幹に加えて稚樹13幹を含み、およそ縦32 m、横17 mにも及んだ。寒冷で過湿な環境にある本調査地のサワラ集団では、伏条による栄養繁殖が集団の成立に大きく寄与していることが示唆された。
著者氏名 ○岩木呂愛由1 ・ 清野達之2 ・ 小林元3 ・ 田中裕哉4 ・ 陶山佳久4 ・ 戸丸信弘5
著者所属 1名古屋大学農学部 ・ 2筑波大学山岳科学センター八ヶ岳演習林 ・ 3信州大学農学部附属アルプス圏フィールド科学教育研究センター ・ 4東北大学大学院農学研究科 ・ 5名古屋大学大学院生命農学研究科
キーワード MIG-seq, 伏条, 繁殖様式, 更新パターン, クローン成長
Key word MIG-seq, layering, mode of reproduction, regeneration pattern, clonal growth