第136回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

遺伝・育種部門[Forest Genetics and Tree Breeding]

日付 2025年3月21日
開始時刻 ポスター発表
会場名 学術交流会館(第一会議室)
講演番号 PF-6 (学生ポスター賞審査対象)
発表題目 熱帯アジア有用樹種・ファルカタの遺伝構造と集団動態の解明
Genetic structure and population dynamics of Falcata, a useful tree species in tropical Asia
所属 筑波大学
要旨本文 ファルカタは成長が早く約7年で伐期を迎えるため木材として換金効率が高く、30年程前からインドネシア・ジャワ島の住民林業において最も植栽される樹種であることから木材生産上注目されている樹種である。植林をしていく上で、遺伝的な地域性等の遺伝的背景は成長の良い産地の選抜等を通じて効率的な植林の実現に寄与することが知られている。しかし産業上重要な樹種でありながら、ファルカタは遺伝的な地域性や過去の集団動態、気候変動に対する遺伝的強靭性等の集団遺伝的背景が明らかになっていない。そこで、集団遺伝学的な背景の解明を目的として、遺伝構造の解明をはじめとする集団遺伝学的解析を行った。解析対象は天然林22集団であり、ファルカタの葉及び内樹皮からDNA抽出後にdd-RAD seq法により作成したDNAライブラリーをNovaseqで読み取りSNPデータを取得した。SNPデータ解析の結果、大きく諸島ごとに遺伝構造が分かれ、パプア島に位置する集団の遺伝的分化度が最も大きいことが分かった。また凡そ遺伝構造ごとに分岐年代が分かれた。Genetic offsetによりパプア内陸以外の集団で気候変動に対する遺伝的強靭性を有する可能性が示唆された。
著者氏名 ○小沼佑之介1 ・ Sawitri Sawitri2 ・ Liliana Baskorowati5 ・ Mohammad Na'iem2 ・ Widiyatno Widiyatno2 ・ Sapto Indrioko2 ・ 谷尚樹3 ・ 津村義彦4
著者所属 1筑波大学大学院生命地球科学研究群 ・ 2ガジャ・マダ大学 ・ 3国際農林水産業研究センター ・ 4筑波大学生命環境系 ・ 5National Research and Innovation Agency
キーワード 遺伝構造, 系統地理, 適応的変異, 遺伝資源保全, ゲノム情報
Key word Genetic structure, Phylogeography, Adaptive variation, Conservation of genetic resources, Genomics