第136回日本森林学会大会 発表検索
講演詳細
遺伝・育種部門[Forest Genetics and Tree Breeding]
開始時刻 | ポスター発表 |
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講演番号 | PF-8 |
発表題目 | スギの気候適応遺伝変異と将来気候下での影響予測 Climate-Associated Genetic Variation and Projected Offsets for Cryptomeria japonica D. Don Under Future Climates |
所属 | 森林総合研究所 |
要旨本文 | 適応遺伝変異(AGV)の空間分布の理解は、進化生態学のトピックであると同時に、今後予想される気候変動に対する種の応答を理解する上でも重要な問題である。長命な樹木種は、急速な気候変動に対し移住が間に合わず、現在の集団の遺伝変異で対応する必要があると予想される。本研究では、日本の重要な林業樹種であるスギについて、気候変数に関わるAGVの検出と空間モデリングを行い、将来気候下での影響を予測した。分布域全域から集めたスギ天然林22集団、249個体、31676SNPを解析に用い、気候との関連解析から240の候補AGVを得た。11の気候変数との間の関係をGradient Forestを用いてモデリングし、環境傾度に沿ったアレルの変動を予測した。その結果、冬季の気温、夏季の降水量、冬季の降水量がスギのAGVの分布を説明する重要な要因としてランクされた。また、日本海側の多雪地域および太平洋側の多雨地域で選択が強く働いていることが予想された。将来の気候下で求められるAGVの分布と現在のAGVの分布の差を計算したところ、西南日本を中心に現在の遺伝的組成では適応度が低下するリスクがある可能性が示唆された。 |
著者氏名 | ○内山憲太郎1 ・ 伊原徳子1 ・ 中尾勝洋2 ・ 鳥山淳平3 ・ 橋本昌司4 ・ 津村義彦5 |
著者所属 | 1国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所樹木分子遺伝研究領域 ・ 2国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所関西支所 ・ 3国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所九州支所 ・ 4国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所立地環境研究領域 ・ 5筑波大学生命環境系 |
キーワード | 気候適応遺伝変異, 空間モデリング, 適応度, 温暖化, 遺伝的オフセット |
Key word | climate-associated genetic variation, spatial modelling, fitness, global warming, genetic offset |