第136回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

生理部門[Tree Physiology]

開始時刻 ポスター発表
講演番号 PG-1 (学生ポスター賞審査対象)
発表題目 潜伏芽と伐採時期がクリの萌芽に与える影響
Effects of epicormic buds and cutting season on sprouting of Castanea crenata
所属 新潟大学大学院
要旨本文 樹木の萌芽能力は薪炭林施業に欠かせない性質だが、近年里山林の利用放棄が進み母樹老齢化による萌芽能力低下が指摘されている。しかし高齢の薪炭林で萌芽能力が低下するメカニズムはまだ明らかになっていない。また伐採時期が萌芽に与える影響についてはまだ一部の樹種でしか調べられていない。近年我々の研究グループでは、X線CT画像を用いてブナ科広葉樹内部の定芽の履歴を三次元で可視化することにより、萌芽能力の時系列での消長を計測する技術を開発した。本研究ではクリを対象とし、伐採による潜伏芽の動態調査とX線CT装置を用いた潜伏芽の履歴を追跡する調査を行うことで、萌芽再生能力の特徴を解析した。利用放棄された里山林に更新したクリを2022年夏、2022年冬、2023年春に5個体ずつ高さ2mで伐採し潜伏芽の挙動を観察した所、夏と冬伐採の個体は春伐採の個体と比較してピーク時の萌芽枝数が3倍以上多かった。伐採前に観察できなかった樹皮下からの萌芽が多数確認され、形成層付近で潜伏芽の頂端分裂組織が旺盛に分裂し萌芽本数を増やしている様子がCT画像から確認された。またクリの萌芽再生能力は樹齢1-5年で最大となりその後樹齢と共に失われる傾向にあった。
著者氏名 ○石原奏1 ・ 本間航介2
著者所属 1新潟大学大学院自然科学研究科 ・ 2新潟大学佐渡自然共生科学センター演習林
キーワード X線CT撮影, バッドトレース, 生残過程, 薪炭林施業
Key word X-ray CT photography, bud trace, demography, coppice forest management