第136回日本森林学会大会 発表検索
講演詳細
生理部門[Tree Physiology]
日付 | 2025年3月21日 |
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開始時刻 | ポスター発表 |
会場名 | 学術交流会館(第一会議室) |
講演番号 | PG-16 (学生ポスター賞審査対象) |
発表題目 | 葉脈と葉肉の支持機能の分担が可能にした薄い葉の進化 The evolution of thin leaves through the division of support functions between veins and mesophyll |
所属 | 京都大学 |
要旨本文 | 被子植物は、薄い葉肉を進化させたことで高い光合成速度を実現した。一方で薄い葉では、効率的な光獲得に寄与する、葉面を平らに維持する支持機能が低下する。我々はこれまでに、二次脈が葉の縁まで伸びるツリー型の葉脈構造への進化と薄い葉への進化が対応していることを示した。そこで、本研究ではツリー型の葉脈構造が、光合成に必要な水の通りやすさ(通水性)や、支持機能の向上を通して薄い葉肉の進化に寄与した可能性を検証した。アンボレラを含む広範な系統の38種の広葉樹を用いて、主要脈(一次脈と二次脈)と三次脈以上を含む葉肉について、曲げ剛性と葉の重量あたりの主要脈の長さ(密度)、通水性、光合成速度の指標である気孔コンダクタンスを評価し、系統を考慮して3タイプの葉脈構造間で比較した。その結果、葉肉と主要脈の曲げ剛性は、他の葉脈構造よりもツリー型の種で有意に低かった。一方、主要脈の密度は他の葉脈構造と比べてツリー型の種で有意に高かった。光合成速度や通水性では、葉脈構造間の違いが見られなかった。以上より、ツリー型の葉脈構造の進化は、主要脈の高密度化を通して葉の支持機能を高め、薄い葉肉の進化を促したと考えられた。 |
著者氏名 | ○佐々木陽依1 ・ 河合清定2 ・ 石田厚1 ・ 才木真太朗3 ・ 山尾僚1 |
著者所属 | 1京都大学生態学研究センター ・ 2国際農林水産業研究センター ・ 3国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所 |
キーワード | 曲げ剛性, 葉脈構造, 広葉樹, 通水性 |
Key word | flexural rigidity, leaf vein pattern, broadleaf tree, hydraulic conductance |