第136回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

生理部門[Tree Physiology]

日付 2025年3月22日
開始時刻 ポスター発表
会場名 学術交流会館(第一会議室)
講演番号 PG-21 (学生ポスター賞審査対象)
発表題目 複数樹種における師部輸送速度と師部構造の比較
The relationship between phloem transport velocity and phloem structure in several species
所属 京都大学
要旨本文  樹木は光合成によって固定した炭素を葉から根などの各器官まで運ぶ「師部輸送」を行っている。樹木の師部は大気から土壌への炭素の移動経路とも考えられるため、師部輸送速度の樹種による違いは複数種が混在する森林の炭素動態を議論する際に重要である。また、師部輸送速度の違いは各環境に適応した結果であり、進化の過程でより効率的な仕組みや構造を獲得したことで生じたと予想される。そこで本発表では「師部輸送速度は系統進化に従って高くなっているか」「季節や個体サイズなどの影響は樹種によって異なるか」という問いに答えるため、複数樹種の師部輸送速度と師部構造を比較する。 師部輸送速度は、炭素安定同位体(13C)パルスラベリングにより算出した。樹冠に13CO2を与えるラベリングから幹呼吸によって放出される13CO2が有意に増加するまでの時間を測定し、幹呼吸測定位置の高さの差を測定した時間で除した値を師部輸送速度(m h-1)として算出した。これまでに測定された針葉樹3種、広葉樹7種の値を比較した。さらに一部の樹種では、輸送経路である師部の細胞の顕微鏡観察を行った。師部の形状や大きさと輸送速度との関連についても考察する。
著者氏名 ○森田瑞穂1 ・ 小口理一2 ・ 高梨聡3 ・ Epron Daniel1 ・ 檀浦正子1
著者所属 1京都大学大学院農学研究科 ・ 2大阪公立大学理学研究科 ・ 3国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所関西支所
キーワード 師部輸送, 師管要素, 炭素安定同位体, パルスラベリング
Key word phloem transport, sieve element, carbon stable isotope, pulse labelling