第136回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

生理部門[Tree Physiology]

開始時刻 ポスター発表
講演番号 PG-4
発表題目 九州産スギ2品種の日常的な幹の貯留水利用
The daily use of stem-water storage in two clonal cultivars of Cryptomeria japonica
所属 神戸大学
要旨本文 将来の気候変動下においてスギの年間蒸散量は増加する可能性が予測されている。そのため、日常的な蒸散に寄与する樹体内の貯留水の利用特性は、気候変動に対する生理的順化において重要である。本研究では、宮崎大学田野フィールドの約40年生のスギ共通圃場に生育する九州産のスギ2品種(早生型および中生型)を対象に、幹の胸高および生枝下高において、グラニエ法による樹液流束密度および高解像度デンドロメーターによる幹の放射方向の伸縮量を連続観測した。 両品種とも、樹液流の日内ピークは生枝下高で早く胸高で遅れて観測され、幹内の貯留水が梢端での蒸散要求の増加に対する根からの水分供給を補償すると示唆された。また、中生型は早生型よりも幹内の貯留水の寄与が大きかった。両品種とも幹の放射方向の伸縮量に日周パターンが観測され、内樹皮の貯留水の日常的な利用が示唆された。伸縮量は早生型では胸高よりも生枝下高で大きかったが、中生型では差がなかった。幹の胸高において加温処理をした結果、早生型でのみ伸縮量が増加したことから、スギでは気温上昇により幹の貯留水の寄与が高まるが、その感受性や順化は品種によって異なる可能性が示唆された。
著者氏名 ○東若菜1 ・ 高木正博2 ・ Uchiyama, Christmas1 ・ 石井弘明1
著者所属 1神戸大学大学院農学研究科 ・ 2宮崎大学農学部附属フィールド科学教育研究センター田野フィールド
キーワード 樹液流, デンドロメーター, 気候変動
Key word sap flow, dendrometer, climate change