第136回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

生理部門[Tree Physiology]

開始時刻 ポスター発表
講演番号 PG-8
発表題目 insect defoliationが広葉樹の木質形成へ与える影響
The effects of insect defoliation on wood structure of hardwoods
所属 北海道大学
要旨本文  温帯林や北方林では、時折食葉性昆虫が大発生し、樹木の葉が食い尽くされることがある。樹木は成長期に失葉すると成長や木質形成に影響を与えることが報告されているが、広葉樹については知見が非常に少ない。そこで食害年の明らかな広葉樹(ウダイカンバ、ミズナラ、ブナ)の年輪幅の計測と組織構造の観察を行うことで、失葉が広葉樹の木質形成にどのような影響を与えるかを明らかにした。 試料として、2006〜2012年に北海道道央部でクスサン幼虫の大発生により失葉したウダイカンバの木部および2014年に富山南西部でマイマイガ幼虫の大発生により失葉したミズナラとブナの木部を採取した。採取した試料は年輪幅を計測し、食害年に形成された年輪の木口面の光学顕微鏡観察を行った。ウダイカンバでは、食害年での白っぽく見えるwhite ringの形成と、翌年の年輪幅の急激な減少が観察された。白っぽく見えるのは木部繊維壁厚が減少したことによるものであった。同じ散孔材のブナでも晩材部の木部繊維壁が薄くなっていたが、環孔材のミズナラでは、食害年に形成された年輪は晩材部がほとんど形成されていなかった。
著者氏名 ○渡辺陽子
著者所属 北海道大学大学院農学研究院
キーワード 食葉性昆虫の大発生, 失葉, 組織構造, 広葉樹
Key word outbreak of herbivorous insects, defoliation, wood structure, hardwoods