第136回日本森林学会大会 発表検索
講演詳細
植物生態部門[Forest Ecology]
日付 | 2025年3月21日 |
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開始時刻 | ポスター発表 |
会場名 | 学術交流会館(ロビー) |
講演番号 | PH-10 (学生ポスター賞審査対象) |
発表題目 | クマハギがスギ幹からのメタン放出に与える影響 The effects of bark stripping by bears on CH4 emissions from Cryptomeria japonica trunks |
所属 | 京都大学大学院 |
要旨本文 | 森林土壌は温室効果ガスの一つであるメタンを吸収している。一方で、土壌や樹木の幹内部に生息する微生物のはたらきにより生成されたメタンが、樹木の幹を介して大気中に放出されていることも明らかになりつつある。しかし、スギを含む針葉樹の幹からのメタン放出量は、非常に小さいと報告されてきた。本研究では、先行研究で主に対象とされてきた健全木ではなく、クマハギにより樹皮の一部が剥がれたスギ幹からのメタン放出に着目した。京都大学芦生研究林において、チャンバー法によりメタンフラックスを計測した。その結果、最大190 nmol m-2 s-1を超える非常に高いメタン放出が記録された。林分レベルに換算すると、このスギ幹からのメタン放出量は、土壌によるメタン吸収量の約17 %に相当することが明らかになった。さらに個体間で比較すると、クマハギ被害木からのメタン放出量と幹直径との間に正の相関が認められた。また同一個体内のクマハギ部分においても、メタンフラックスに10~380倍もの差があった。これらのメタン放出量の変動には、クマハギに伴う幹内部の腐朽が引き起こす、メタンの拡散速度、生成量、酸化量の変動が影響を与えていると考察される。 |
著者氏名 | ○長沢誠 ・ 持留匠 ・ Daniel Epron ・ 檀浦正子 |
著者所属 | 京都大学大学院農学研究科 |
キーワード | メタン, スギ, クマ剥ぎ, 温室効果ガス, フラックス |
Key word | methane, Japanese cedar, bark-stripping by Ursus thibetanus japonicus, greenhouse gas, flux |