第136回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

植物生態部門[Forest Ecology]

日付 2025年3月21日
開始時刻 ポスター発表
会場名 学術交流会館(ロビー)
講演番号 PH-3
発表題目 ブナが光合成するには八甲田はやや暑い
Atmospheric drought restrict gas exchaneg of Fagus crenata in Mt. Hakkoda
所属 九州大学
要旨本文 葉は葉面環境に応じて気孔を調節し、大気中からCO2を取り込んで光合成し、蒸散として大気へと水蒸気を放出する。生化学反応である光合成に加え、気孔調節もまた規則正しく葉面環境に応答して変化することが知られており、数多くの研究が大気とCO2・水蒸気とのやり取り:ガス交換を高精度にモデル推定してきた。だが近年の研究では、亜高山のような冷涼湿潤な地域であっても、モデルが蒸散を過大評価することが明らかとなっている。そこで、日本の冷温帯林の主要樹種であるブナについても、モデルが蒸散を過大評価する、すなわち葉が十分に水供給されない事態が発生すると仮説を立て、現地計測を通じて検証を行った。八甲田山中の試験地に生育するブナの成木に樹液流センサーを設置して連続的に蒸散を計測し、出版済みのブナの光合成データを基に計算された蒸散速度のモデル推定値を比較した。ブナの蒸散速度は積雪の残る5月中から開葉を開始し、蒸散速度は大気飽差の変動と同調して変化したが、低い水準で蒸散-飽差関係は飽和した。蒸散のモデル推定値-実測値関係の飽和は5月以降観察され、年間を通してブナの葉は水供給不足に陥っていることが示唆された。
著者氏名 ○宮沢良行1 ・ 石田清2
著者所属 1九州大学キャンパス計画室 ・ 2弘前大学農学生命科学部
キーワード 蒸散, 気孔, 樹液流, 飽差
Key word transpiration, stomata, sap flow, vapor pressure deficit