第136回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

植物生態部門[Forest Ecology]

日付 2025年3月21日
開始時刻 ポスター発表
会場名 学術交流会館(ロビー)
講演番号 PH-4
発表題目 幹枝生産に使う炭素はいつの光合成で得たものか:モミ苗の例
Seasonal variations in carbon allocation to stems and branches in Abies firma seedlings
所属 京都大学
要旨本文 樹木生産量には年変動がある。年変動と気候との関係を解析する際、指標として樹幹胸高部の肥大成長量が使われるが、胸高の幹肥大量が多い年に、幹伸長量や枝肥大量も多いとは限らない。つまり成長に影響する要因は、幹と枝という部位間、伸長と肥大という成長様式間で異なる可能性がある。本研究の目的は、幹枝の伸長と肥大を対象に、成長量を左右する光合成期間を特定することにある。フェノロジーに基づいて期間を区切り、13CO2ラベリングを行うことで、各期間の光合成産物の動きを追跡した。京都市にて3年生のモミ(Abies firma)80個体を育てた。フェノロジーは5個体の幹枝を対象に2023年の伸長・肥大期間を計測した。ラベリングは2023年春から冬に、異なる個体へ計9回実施した。2023年に作られた髄と木部を切り分けて同位体分析を行い、取り込まれた炭素が伸長または肥大成長に使われたかを調べた。肥大成長は幹枝ともにシュート伸長の停止後に開始した。幹枝の伸長は伸長期間中の光合成で得た炭素が使われ、枝肥大は枝肥大開始前と肥大期間中、幹肥大は幹肥大期間中の光合成で得た炭素が使われていた。各成長は異なる時期の光合成量に影響されていることが示唆された。
著者氏名 ○田邊智子1 ・ 鈴木(張)春花2 ・ 香川聡2 ・ 今井友也1 ・ 檀浦正子3 ・ 高橋けんし1
著者所属 1京都大学生存圏研究所 ・ 2国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所木材加工・特性研究領域 ・ 3京都大学大学院農学研究科
キーワード 炭素分配, 伸長成長, 肥大成長, 13CO2 パルスラベリング
Key word carbon allocation, shoot elongation, radial increment, 13CO2 pulse-labeling