第136回日本森林学会大会 発表検索
講演詳細
植物生態部門[Forest Ecology]
日付 | 2025年3月21日 |
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開始時刻 | ポスター発表 |
会場名 | 学術交流会館(ロビー) |
講演番号 | PH-6 (学生ポスター賞審査対象) |
発表題目 | カラマツの年輪における炭素安定同位体比の年次変動 Year-to-year variation of stable carbon isotope ratios in annual rings of Japanese larch |
所属 | 京都大学 |
要旨本文 | 中部地方の寒冷地を原産とするカラマツ( Larix kaempferi )は、近年の気温上昇や降水量の多寡による成育への影響を受けやすい種だと考えられる。カラマツの育林を継続するには、近年の気象条件とカラマツの成長がどう関わっているかを定量化することは重要である。本研究では、京都大学フィールド科学教育研究センター芦生研究林内の野田畑湿原に分布するカラマツ人工林、斜面上に分布する扇谷見本林のカラマツ計15個体から成長錐を用いて年輪コアを採取し、年輪幅および年輪内の炭素安定同位体比と気象データの相関解析を行った。芦生研究林では年最低気温の上昇傾向が確認されている。野田畑のカラマツでは扇谷のカラマツよりも、3~5月の平均気温と年輪幅指数により強い正の相関があった。野田畑のカラマツに比べ、扇谷のカラマツでは年輪内の炭素安定同位体比と3~5月の降水量により強い負の相関が見られた。植物体内の炭素安定同位体比は、植物が乾燥ストレスを受けると高くなる。以上より、湿地付近にある野田畑のカラマツでは春季の気温上昇が肥大成長に対して促進的に働き、斜面上にある扇谷のカラマツでは春季の降雨が乾燥ストレスを抑制する働きを示した。 |
著者氏名 | ○小林敬子 ・ 檀浦正子 |
著者所属 | 京都大学農学部 |
キーワード | 炭素安定同位体比, 気候変動, 年輪 |
Key word | Stable carbon isotope ratio, Climate change, Annual ring |