第136回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

立地部門[Forest Environment]

日付 2025年3月22日
開始時刻 ポスター発表
会場名 学術交流会館(ロビー)
講演番号 PI-14
発表題目 トドマツ人工林の保持林業試験地における伐採前後12年間の窒素流出量変化
Nitrogen runoff in a retention forestry experiment site for 12 years before and after harvesting.
所属 北海道立総合研究機構 林業試験場
要旨本文 保持林業が渓流水の窒素流出に及ぼす効果を検討するため、北海道空知地方のイルムケップ火山山麓の流域面積10ha前後の小流域単位として伐採実験を行った。流域内に一定量のトドマツ、混生広葉樹を保持する伐採区3流域と、非伐採トドマツ人工林、天然生広葉樹林流域を設定し、施業前後12年間の平水時、出水時の無機態窒素濃度、負荷量の変化を比較した。伐採後の平水時硝酸態窒素濃度は、保持木を材積割合で50%残した流域ではほとんど変化せず、保持割合20~30%では概ね伐採後3年間、濃度上昇する傾向が見られた。伐採後5年目以降、保持割合が30%以上の流域では伐採前よりも硝酸態窒素濃度が低下した。出水時については、伐採後2年間は各伐採流域で流量増加に対応した濃度上昇(最高>2mgN/L)が観測されたが、その後濃度低下した。一方、伐採後の流量増加は少なく、5年後以降漸減傾向を示したことから、平水時の硝酸態窒素負荷量も同様に推移した。また、出水時の窒素負荷量も、保持割合30%以上の流域では5年目以降伐採前よりも低くなった。これらの結果から、保持木の成長回復や下層植生の旺盛な繁茂が窒素流出を抑制していることを示唆した。
著者氏名 ○長坂有 ・ 長坂晶子
著者所属 北海道立総合研究機構森林研究本部林業試験場
キーワード 保持林業, 硝酸態窒素, 負荷量, 平水, 出水
Key word retention forestry, nitrate, load, ordinary water, flood