第136回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

立地部門[Forest Environment]

開始時刻 ポスター発表
講演番号 PI-24
発表題目 温度と水分環境が泥炭土壌の微生物呼吸に与える影響
Effects of temperature and moisture conditions on heterotrophic respiration in peat soils
所属 日本原子力研究開発機構
要旨本文 泥炭土壌には莫大な量の炭素が蓄積しているが、わずかな気温上昇でも土壌からの二酸化炭素(CO2)放出量が増大し、その効果は長期的に持続する可能性が高い。さらに、気温上昇に伴い土壌が乾燥し、好気的な環境に変化した場合、土壌有機物の分解がより促進されることが予測される。しかし、温度と水分の複合的な環境変化が泥炭土壌の炭素動態にどの程度の影響を与えるのか、その実態は明らかではない。本研究では、泥炭土壌における環境変化に対する有機物の分解応答を定量評価することを目的とした。表層(0-20 cm)と下層(40-60 cm)の土壌を最大容水量(WHC)の40、60、80、100%に調整後、20℃と30℃で培養し、CO2濃度を測定した。放出された炭素の起源推定のために、CO2の放射性炭素(14C)年代を評価した。温度が10℃上昇した時の炭素放出量の上昇率は、いずれの深さもWHC40%が高い傾向を示し、表層で3.4倍、下層で4.2倍であった。また、温度とWHCの違いに関わらず、下層では表層に比べて古い有機物が分解されていた。泥炭土壌では、乾燥が温度上昇による影響を増大し、特に下層では長期間蓄積された有機物の分解が促進されることが示唆された。
著者氏名 ○阿部有希子1 ・ 高木健太郎2 ・ 安藤麻里子1 ・ 中山理智1,3 ・ 梁乃申4 ・ 小嵐淳1
著者所属 1日本原子力研究開発機構 ・ 2北海道大学北方生物圏フィールド科学センター ・ 3鳥取大学乾燥地研究センター ・ 4国立環境研究所
キーワード 土壌炭素, 地球温暖化, 土壌有機物, 放射性炭素
Key word Soil carbon, Global warming, Soil organic matter, Radiocarbon