第136回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

防災・水文部門[Forest Disaster Prevention and Hydrology]

開始時刻 ポスター発表
講演番号 PJ-3
発表題目 降雨流出および斜面崩壊に与える森林植生の影響
Effects of forest vegetation on rainwater discharge and landslides
所属 京都大学
要旨本文 主伐期を迎えた人工林が皆伐されるケースが多々見られる。皆伐ならびにその後の造林の有無が斜面崩壊に与える影響に関しては過去に検討がなされているが,実験に基づくものが多くを占めている。本研究では現地データに基づき定量的分析を試みた。対象地域は,令和2年7月豪雨によって崩壊が多発した熊本県球磨村である。2006年4月~2020年11月に撮影された8時期の空中写真(出典:Google Earth Pro)と7月豪雨直前直後(5月,7月)に撮影された衛星写真(SPOT)を分析し以下の傾向を推察した。(1)皆伐跡地では,その後の造林,非造林に関わらず,森林(非伐採地)より崩壊リスクが高まる。(2)非造林地における崩壊リスクは皆伐から数年でピークを迎え徐々に低下する。(3)造林地では,新規植栽後しばらくの期間は非造林地よりも崩壊リスクが高まる。(2)に関して,非造林地では,伐採木の根系の腐朽に伴い斜面補強効果が徐々に低下した結果,崩壊リスクが増加すると考えられてきたが,実際には植生の自然回復によって崩壊リスクが低下する可能性がある。(3)に関しては,新規植栽時の作業が斜面に人為的撹乱をもたらし,リスクを増加させている可能性がある。
著者氏名 ○小杉賢一朗 ・ 宮崎翔一
著者所属 京都大学大学院農学研究科
キーワード 降雨流出, 斜面崩壊, 森林植生, 皆伐, 植栽
Key word rainwater discharge, landslide, forest vegetation, clear cutting, plantation