第136回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

利用部門[Forest Engineering]

開始時刻 ポスター発表
講演番号 PK-1
発表題目 作業道からの排水による斜面のマトリックポテンシャルの変化
The effect of road drainage on soil matric potential below the road
所属 森林総合研究所
要旨本文  作業道路面からの排水は、盛土や地山斜面に浸透してそのせん断強度を低下させ、表層崩壊を誘発するとされる。しかし、この現象を実際に観測した例はない。本研究では、作業道からの排水が流下する流路上と流路外、各々2点(盛土法尻付近と、そのさらに下方の地山斜面(以下「地山斜面」)にテンシオメータを設置し、地表から深さ30 cmのマトリックポテンシャルの変動を約3か月間観測した。 排水流路上では、降雨時のマトリックポテンシャルの上昇幅が排水流路外よりも大きかった。特に、盛土法尻よりも地山斜面での変動が大きく、ピーク雨量が5 mmh−1程度の降雨で飽和に近い状態までマトリックポテンシャルが上昇していた。また、排水流路上では1 mmh−1程度の弱い雨でもマトリックポテンシャルが上昇し、強雨が無い期間も湿潤な状態が維持されていた。各観測地点付近の深さ10 cm、30 cmから採取したサンプルの飽和透水係数に顕著な差はなく、いずれも10−4 ms−1のオーダーであった。 今後、このような作業道排水による飽和度の上昇が、斜面の安全率にどのような影響を及ぼすか分析を行う。
著者氏名 ○宗岡寛子1 ・ 鈴木秀典1 ・ 清水直喜2 ・ 酒井一幸2 ・ 釣田竜也3 ・ 関口覧人3
著者所属 1国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所林業工学研究領域 ・ 2林野庁森林技術総合研修所林業機械化センター ・ 3国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所立地環境研究領域
キーワード 作業道, 排水, マトリックポテンシャル, 表層崩壊, テンシオメータ
Key word spur roads, road drainage, matric potential, slope failure, tensiometer