第136回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

動物・昆虫部門[Forest Zoology and Entomology]

開始時刻 ポスター発表
講演番号 PL-1 (学生ポスター賞審査対象)
発表題目 森林の消失と断片化はキツツキが果たす生態系機能に影響を与えるか?
Does forest loss and fragmentation affect woodpecker-associated ecosystem functions?
所属 東京農工大学
要旨本文 人間活動による土地利用の変化により、天然林の消失や断片化が世界的に広がっている。日本では戦後の木材需要の増加に伴い、多くの天然林が伐採され針葉樹の人工林へ転換された。このような天然林の消失や断片化の影響を受けやすい動物として、森林に依存するキツツキが挙げられる。これまで、天然林の消失と断片化がキツツキに与える影響は明らかにされてきたが、樹洞や倒木形成など生態系機能に与える影響は未知であった。本研究の結果、キツツキが多く生息する天然林は、周囲に広葉樹林が多いだけでなく、こうした天然林では数年後にキツツキにより形成された樹洞や倒木が多く確認された。一方で、倒木が多く確認された森林には、林縁部が多いといった特徴は認められなかったことから、森林の断片化よりも消失がキツツキの生息や生態系機能に負の影響を与えることが示された。さらに、小型キツツキでこれらの関係が顕著であった。調査地周辺には壮齢の人工林が多く、大型キツツキにとって営巣可能な木が人工林にも存在したことが関係したと考えられる。本研究は森林生態系を健全に維持するうえで、景観スケールでの森林管理計画の策定の提案に寄与することが期待される。
著者氏名 ○安田和真1 ・ 加藤大貴1 ・ 直江将司2 ・ 天野達也1,3 ・ 吉川徹朗4 ・ 栃木香帆子5 ・ 小池伸介1
著者所属 1東京農工大学 ・ 2国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所東北支所 ・ 3クイーンズランド大学 ・ 4大阪公立大学 ・ 5東京大学
キーワード 森林の消失と断片化, 生態系機能, キツツキ
Key word Forest loss and fragmentation, Ecosystem function, Woodpecker