第136回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

動物・昆虫部門[Forest Zoology and Entomology]

日付 2025年3月22日
開始時刻 ポスター発表
会場名 学術交流会館(第一会議室)
講演番号 PL-18
発表題目 北海道でのカシノナガキクイムシ越冬可能性-積雪はリスクを高めるか?-
Overwinter risk of Platypus quercivorus in Hokkaido, advantage of snow depth
所属 北海道立総合研究機構森林研究本部林業試験場
要旨本文 カシノナガキクイムシ(以下、カシナガ)が媒介するナラ枯れが全国的に猛威を振るっている。カシナガは氷点下の環境で死亡率が高くなるため、北日本では冬期の低温が被害拡大を制限すると考えられる。一方で、多雪地域では雪の遮熱効果により地際部が保温され、外気温で想定されるよりも越冬できる地域が広い可能性がある。そこで、冬期におけるミズナラの樹幹温度を測定し、積雪がどの程度影響するのか調べた。また、外気温と積雪からカシナガの越冬可能性を予測し、実際の越冬状況と比較した。樹幹温度と積雪深は2022年冬~2024年春に松前半島の8地点で測定した。また、2023年に北海道で発生したナラ枯れ被害木のうち4地点8個体について、2024年春に材内のカシナガの生死を調査した。結果、日平均樹幹温度の氷点下日数は地際部で樹幹上部よりも有意に少なく、積雪が多い地点ほど少ない傾向があった。2023年被害地の外気温と積雪深による地際部のカシナガ越冬生存率は、外気温のみによる予測値の1.7倍近い50%前後と予想された。実際の生存率はさらに高く、全地点で50%以上であり、積雪によってカシナガの生存率が高まっていたことが確認された。
著者氏名 ○和田尚之1 ・ 内田葉子1 ・ 雲野明1 ・ 大井和佐1 ・ 上田明良2 ・ 小林卓也2 ・ 尾崎研一2 ・ 徳田佐和子3
著者所属 1北海道立総合研究機構森林研究本部林業試験場 ・ 2国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所北海道支所 ・ 3北海道立総合研究機構森林研究本部林業試験場道南支場
キーワード ミズナラ, ハザードマップ, 樹幹温度
Key word Quercus crispula, hazard map, trunk temperature