第136回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

微生物部門[Forest Microbes]

日付 2025年3月22日
開始時刻 ポスター発表
会場名 学術交流会館(第一会議室)
講演番号 PM-13 (学生ポスター賞審査対象)
発表題目 海岸の盛土に植栽されたクロマツの外生菌根の群集構造と酵素活性の解明
Community structures and enzyme activities of ectomycorrhizas of Pinus thunbergii planted on a coastal embankment
所属 三重大学
要旨本文 土壌有機物を分解する外生菌根菌(以下、菌根菌)の細胞外酵素活性は、菌の種類や土壌環境により変化する。本研究では、異なる土壌基質が菌根菌群集の酵素活性に及ぼす影響を解明するため、東日本大震災後に盛土植栽されたクロマツ苗の調査を行った。2019年9月に宮城県大曲浜の沿岸部において、山林土を用いた盛土上のクロマツ苗と、隣接した砂質土で生残したクロマツ成木から根系を採取し、菌根形成率を算出した。一部の菌根は、窒素やリン、炭素の分解に関わる8種の酵素活性を測定し、ITS領域のDNAバーコーディングにより菌種を推定した。その結果、山林土の苗木での菌根形成率(75.9±17.7%)は、砂質土の成木(96.1±6.3%)より有意に低かった。山林土の苗木と砂質土の成木から、それぞれ11、5分類群の菌根菌が検出された。山林土ではThelephora属(33%)、砂質土ではCenococcum geophilum(43%)が優占し、両者の群集構造は有意に異なった。ラッカーゼを除く全ての酵素活性は、山林土の菌根の方が砂質土のものより有意に高かった。以上より、盛土に植栽されたクロマツ苗は、海岸の砂地とは異なる菌根菌群集と関わり、高い酵素活性を発揮していることが示唆された。
著者氏名 ○瀬川あすか1 ・ 山口郷彬1 ・ 小長谷啓介2 ・ 北上雄大1 ・ 松田陽介1
著者所属 1三重大学大学院生物資源学研究科 ・ 2国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所北海道支所
キーワード 海岸林, 津波, マイクロプレート法, Cenococcum geophilum, 細胞外酵素活性
Key word coastal forest, tsunami, microplate assay, Cenococcum geophilum, extracellular enzyme activity