第136回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

微生物部門[Forest Microbes]

日付 2025年3月22日
開始時刻 ポスター発表
会場名 学術交流会館(第一会議室)
講演番号 PM-14 (学生ポスター賞審査対象)
発表題目 海岸クロマツ林に分布する外生菌根菌の群集構造に津波が及ぼす影響
Effects of tsunami on the community structure of ectomycorrhizal fungi in a coastal Japanese black pine forest
所属 東京農業大学
要旨本文  2011年の東日本大震災に伴う津波により、東北沿岸のクロマツ林は大きな被害を受けた。津波に伴う表土の流出と土壌塩分濃度の増加は、クロマツの生育だけでなく土壌中の外生菌根菌(以下、菌根菌)の群集にも影響を与えたと考えられる。そこで本研究では、①津波という物理的要因と②塩ストレスという化学的要因が菌根菌群集に及ぼす影響を明らかにすることを目的として、2調査地(仙台市と藤沢市)と塩ストレス処理の有無という4処理区の間において菌根菌の群集構造を比較した。各調査地のクロマツ樹下から土壌コアを採取し、無菌発芽させたクロマツ苗を移植して菌根を形成させた。得られた菌根からDNAを抽出して菌種を同定した。群集構造解析の結果、仙台市の津波跡地では少数の系統群が優占し(仙台市:7系統群、藤沢市:10系統群)、津波の物理的影響が認められた(①)。また、両地点ともに塩ストレス処理によって種数と多様度指数 (H’) が増加し、津波の化学的影響が認められた(②)。以上より、津波に伴う表土流出は菌根菌にとって大規模な撹乱であり、高塩土壌を好む菌種の存在が、津波直後のクロマツの定着を助けている可能性が示唆された。
著者氏名 ○村上陸 ・ 小泉敬彦
著者所属 東京農業大学生命科学部
キーワード 外生菌根菌, 津波, クロマツ, 群集構造
Key word Ectomycorrhizal fungi, Tsunami, Japanese black pine, Community structure