第136回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

微生物部門[Forest Microbes]

日付 2025年3月22日
開始時刻 ポスター発表
会場名 学術交流会館(第一会議室)
講演番号 PM-21
発表題目 冷温帯林の落葉漂白部に種特異的に発生するHypoderma属菌
Host recurrence of Hypoderma spp. on the lignified litter in cool-temperate forest
所属 東京大学大学院
要旨本文 落葉分解では、菌類によるリグニン分解を受けて落葉が白色化する現象(漂白)がみられる。漂白部位では、リグニン分解に関与したと考えられる菌類の子実体が発生し、これまでにクロサイワイタケ科やリティズマ科などに属する菌類が報告されている。2024年夏から秋にかけて、埼玉県と栃木県の冷温帯林に分布するブナ、ミズナラ、アセビの3種のリター上において、形態が類似するリティズマ科菌類の子実体が漂白部位上で優占していることを見出した。本研究では、これらの菌類の分類学的検討と、生理学的諸性質を明らかにすることを目的とした。ITS領域を用いた系統解析と形態観察の結果から、3樹種の漂白部位に優占した菌はHypoderma属菌と同定された。各樹種から分離された菌株のITS領域を比較したところ、異なる樹種由来の菌株間では3–5%の変異がみられた。また、ブナ落葉上の子実体のみ子嚢盤開口部が黄色であったことや、子嚢胞子のサイズが樹種間で異なったことから、異なる樹種のリターには宿主特異的なHypoderma属菌が定着していることが示唆された。
著者氏名 ○岩切鮎佳 ・ 松下範久
著者所属 東京大学大学院農学生命科学研究科
キーワード リター分解, リグニン, 分類
Key word litter decomposition, lignin, taxonomy