第136回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

微生物部門[Forest Microbes]

開始時刻 ポスター発表
講演番号 PM-23 (学生ポスター賞審査対象)
発表題目 クリタマバチの虫えいとその周辺枝葉の菌相:微小分布と幼虫成長に伴う変遷
Fungi flora of chestnut gall and its surrounding twig and leaf: Micro-distribution and dynamics related to larval growth
所属 東海国立大学機構名古屋大学
要旨本文  クリタマバチはクリ類の芽に産卵し、幼虫の成長に伴って肥大化した瘤(虫えい)を形成する。この虫えいは新梢の伸長を阻害し、成虫脱出後に枯れる。近年外国では、本種の虫えいから特異的な糸状菌が見出され、注目されている。そこで日本の森林に自生するクリ(シバグリ)を対象に、その菌相を解明することを本研究の目的とした。 菌分離に用いる本種の虫えいを、愛知県北東部で、幼虫が蛹化・羽化し、成虫が脱出するまで採取した。対照として虫えい周辺の葉と枝を加えた。さらに、虫えいを内層(幼虫室の壁面を含む)と外層に分割することを試みた。各分離源を数mm角に切り出し、表面殺菌後、PDA培地に置き、15℃・全暗で培養した。出現した菌コロニーを純化し、形態観察とDNA解析によって同定した。 幼虫期では、虫えいの内層と外層、虫えい周辺の葉ともに、Tubakia属菌の分離頻度が最も高かった。これは蛹期でも同じだったが、虫えいの内層でColletotrichum属菌の分離頻度が上昇した。成虫脱出後、虫えいの内層でTubakia属菌の分離頻度は減少し、最高値ではなくなった。また、虫えいとその周辺の枝の菌相は乖離することなども明らかになった。
著者氏名 ○野口楓華1 ・ 升屋勇人2 ・ 梶村恒1
著者所属 1名古屋大学大学院生命農学研究科 ・ 2国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所
キーワード クリタマバチ, 虫えい, 植物内生菌, 植物病原菌, Tubakia属菌
Key word Dryocosmus kuriphilus, gall, endophytic fungi, plant pathogens fungi, Tubakia spp.