第136回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

微生物部門[Forest Microbes]

日付 2025年3月21日
開始時刻 ポスター発表
会場名 学術交流会館(第一会議室)
講演番号 PM-4 (学生ポスター賞審査対象)
発表題目 外生菌根樹木が枯れたら-土壌菌類群集の変化とそれに伴う有機物分解の促進
When ectomycorrhizal trees die - changes in soil fungal communities and organic matter decomposition rate
所属 東京大学
要旨本文 腐生菌と外生菌根菌の相互作用は、有機物分解に影響を及ぼす重要な生物的要因である。この2つのギルド間の競争によって生じる分解抑制はGadgil効果として知られており、そのメカニズムの解明は森林の土壌炭素蓄積量に影響するA0層の変化を予測する上で重要である。しかし、高標高の森林ではA0層が大きいにもかかわらず、Gadgil効果の作用は解明されていない。本研究では、菌類ギルド間の相互作用が分解速度に及ぼす影響の解明を目的として、奥秩父山地のコメツガ天然林でトレンチ試験を行った。2019年9月に、コメツガの周囲と近傍の空き地の7ペアに直径4 mの円形トレンチを掘り、それぞれを腐生菌+外生菌根菌区と腐生菌区とした。分解基質としてセルロースろ紙を各区画に埋め、分解速度を算出した。9月と12月に採取した土壌から菌類存在量の変化を分析し、菌類叢解析を行った。土壌とろ紙の菌類叢を比較することで、Gadgil効果に関与する外生菌根菌を探索した。また、cbhⅠ遺伝子の定量PCRにより、セルロース分解能力の変化を推定した。その結果、腐生菌+外生菌根菌区よりも腐生菌区の分解が有意に速かった。また、菌類叢や分解機能の変化についても考察する。
著者氏名 ○高亦凡1 ・ 執行宣彦2 ・ 平尾聡秀1
著者所属 1東京大学大学院農学生命科学研究科 ・ 2国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所立地環境研究領域
キーワード トレンチ実験, 外生菌根菌, ガドギル効果, セルロースろ紙, 冷温帯林
Key word trenching experiment, ectomycorrhizal fungi, Gadgil effect, cellulose filter, cool-temperate forest