第136回日本森林学会大会 発表検索
講演詳細
論文賞受賞者ポスター
日付 | 2025年3月21-22日 |
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開始時刻 | ポスター発表 |
会場名 | 学術交流会館(ロビー) |
講演番号 | PP-01 |
発表題目 | 北部日本列島の温帯性高木種の長寿性 Longevity of tall tree species in temperate forests of the northern Japanese Archipelago |
所属 | 森林総合研究所 |
要旨本文 | 高木種の長寿性は、森林生態系の動態と構造を理解する上で重要な変数である。しかし、野生個体群の観察から、成熟個体の死亡率に関する情報を集めて長寿性の指標を得ることは容易ではない。本研究では、その代替となるアプローチとして、天然林から伐採された大径木42 種約1,700本の年輪データを統計的に解析し、樹種ごとの到達可能な年齢を推定した。推定された到達可能年齢は種によって大きく異なり、最も長寿なグループであるトチノキ、ハリギリ、ミズナラの寿命(約700年)は、最も短命なグループである ドロノキ、シラカンバ、ミズキの7倍に達していた。この地域で優占する極相種であるブナの長寿性は42種の中では中庸で、約400年であった。長寿な樹種の多くは先駆的な更新を行い、長寿性は必ずしも先駆的な更新戦略と関連しているわけではないと考えられた。長寿性は、カンバ属など一部の属では、同属種間で多様であった。一方で、長寿性には広範囲の分類群にわたり、系統的な影響が見られた。日本列島北部と北米で共通する分類群の長寿性を比較すると、各分類群は両地域で相似した長寿性の序列関係を示した。これらの知見は、本研究で対象にした樹木種の長寿性は系統的にある程度固定されていること、共通した近縁種を多く含む両地域の森林群集では、各構成樹種の長寿性がそれぞれの森林群集の動態に同様の影響を及ぼしていることを示唆している。 |
著者氏名 | Katsuhiro Osumi and Takashi Masaki |
著者所属 | 森林総合研究所 |