第136回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

T5. 森林の放射能研究[Research on radioactivity in contaminated forests]

日付 2025年3月21日
開始時刻 ポスター発表
会場名 学術交流会館(ロビー)
講演番号 PT5-6
発表題目 スギ林土壌における137Cs下方移行に対する間伐の影響
The effects of thinning on the downward migration of 137Cs in cedar forest soils
所属 筑波大学
要旨本文  これまでの137Cs深度分布モニタリングから、137Csがわずか数cmでも下方移行すると、土壌自体の遮蔽効果により空間線量率が低下するだけではなく、細根の分布とずれることで137Csの経根吸収量も減少することが示された。そこで、本研究では間伐を再開したときの137Cs動態を評価するために、飯舘村(旧避難区域)のスギ林間伐地および隣接する対照地において、リターバック実験を実施するとともに、地温計、土壌水分計を設置し、その137Cs動態と土壌環境の変化を調べることを目的とした。調査地は2022年10月に3伐6残の列状間伐が実施されており、初期沈着量は約900 kBq/m2である。 2024年7~11月までの5ヶ月の調査の結果、土壌5 cm深の地温の平均値は対照地で16.9℃であったのに対し、間伐地は間伐列・残存列ともに1℃以上高かった。一方、5 cm深の土壌水分量は対照地で約40.6%であったのに対し、間伐列では44.6%と対照地よりも高く、残存列では35.2%と低い傾向にあった。5ヶ月のリターバック実験では、対照地と間伐地でリター重量の減少量はほぼ同じであったが、対照地では137Cs濃度が約0.26 Bq/gから1.51 Bq/gと増加しており、これは間伐地の約3倍高かった。
著者氏名 ○高橋純子 ・ 嶋田柊太 ・ 恩田裕一
著者所属 筑波大学
キーワード 福島第一原子力発電所事故, 森林除染, 列状間伐, 地温, リターバック実験
Key word Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant Accident, Forest decontamination, Strip thinning, Soil temperature, Litter bag experiment