第136回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

S1. 保持林業――成果と経験、今後に向けて――[Retention forestry: results, experiences, and for the future]

日付 2025年3月21日
開始時刻 14:15
会場名 N11
講演番号 S1-3
発表題目 保持林業実証実験で残された樹木の動態
Mortality of retention trees in a retention forestry experiment in Hokkaido, Japan
所属 北海道立総合研究機構
要旨本文 保持林業における保持木は、伐採による環境の急変によって枯死することがある。立ち枯れ木や倒木になってもそれらを利用する生物の役に立つが、枯れずに長く維持されることで、森林の複雑な空間構造を作り、人工林では失われる大径木を提供する。そこで、伐採前に選んだ保持木の生残状況や樹種ごとの特徴を伐採6年後まで追跡調査した。枯死木は伐採前後の時期、特に小径木に多く発生し、その後少なくなった。枯死の多くは根返りや幹折れによって発生しており、台風や低気圧などによる強風の影響が強かった。風害への反応は樹種によって異なり、シナノキなどは幹折れしても枯死せずに樹冠を回復させた。今後は北海道でも強力な台風が増加することが懸念され、保持木の選木では風害の危険性を考慮することがより重要になる。対策として、伐採の影響を受けにくい樹種、大径木や樹高の割に直径の大きな木を選ぶことや、風の影響を弱めるために複数の保持木をパッチ状に残すことなどが考えられよう。本研究では侵入広葉樹を保持木としたが、広葉樹は一様に分布しているわけではなく、樹種特性も考慮して配置を柔軟に考えることが重要である。
著者氏名 ○明石信廣 ・ 雲野明
著者所属 北海道立総合研究機構森林研究本部林業試験場
キーワード 風倒, 人工林, 種特性, 単木保持木
Key word blowdown, planted forest, species charactersitics, dispersed retention trees