第136回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

S1. 保持林業――成果と経験、今後に向けて――[Retention forestry: results, experiences, and for the future]

日付 2025年3月21日
開始時刻 14:15
会場名 N11
講演番号 S1-8
発表題目 日本における保持林業の今後の展開に向けて
Towards the future of retention forestry in Japan
所属 森林総合研究所
要旨本文  実証実験では非伐採の対照区を設け、伐区の大きさは5ha以上とし、繰り返しを三つ設けた。対照区を含めて伐採前後の年に調査を行なうBACIデザインを用いた。実験の規模は北大札幌キャンパスに相当する。実験開始から12年が経過し、主要な成果がほぼ出揃った。本発表では、今後日本で保持林業を展開する際の課題を列挙する。・日本でもやればできる:保持林業の効果は少なくとも実験地では実証された。・広葉樹高木は必ずしも容易に残せない:スギ・ヒノキ人工林ではこの事実は大きな挑戦だが、稚樹や萌芽更新木を含めれば見込みはある。・保持林業は万能薬ではない:木を残しても守れない生物は存在する。・オープン・クエスチョン:経営や管理・林政分野と協力し、日本や地域の実情に合わせた広域展開が求められる。・施業指針の作成:分かりやすく、簡潔に示す必要がある。・労働災害の防止:木を残すことに起因する災害は回避しなければならない。 保持林業は国内各地でこれまで実践されてきたし、現在も実践されているのだから、これからも日本で実践できない理由はない。保持林業の実践を通じて、森林・林業・木材の社会的価値が向上することに期待したい。
著者氏名 ○山浦悠一
著者所属 国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所四国支所
キーワード 生物多様性保全, 人工林, 木材生産
Key word Biodiversity conservation, Plantation, Wood production