第136回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

T1. 生物多様性保全と森林管理[Biodiversity conservation and forest management]

日付 2025年3月21日
開始時刻 9:45
会場名 N11
講演番号 T1-3
発表題目 温帯二次林における甲虫群集の垂直層構造とその季節変化
Vertical and temporal distribution of beetle assemblages in temperate secondary forests
所属 東京農工大学
要旨本文 森林生態系における生物多様性を保全するためには、系内に生息する生物群集の時間的・空間的な動態を理解することが不可欠である。森林は垂直的に発達した層構造を有しており、垂直層間で生物群集の構造やそれらの経時的な変化は異なるものと予想される。本研究では、垂直層における甲虫群集の構造およびそれらの季節変化を調査することによって、垂直層構造がもたらす生物群集の時間的・空間的異質性を明らかにすることを目的とした。2022年および2023年の6月、8月、10月において、関東地方の2ヶ所のコナラ林の林冠(約8m)と下層(約1m)に衝突版トラップを設置して、甲虫を採集した。調査の結果、甲虫の出現種数は林冠よりも下層において多かったが、6月から10月になるにつれて、両層間の種数の違いは見られなくなった。しかしながら、どの季節においても、両層間の甲虫群集の非類似度は高く、種構成は異なっていた。以上の結果は、温帯二次林において、下層の群集の動態は林冠の群集の動態を反映・代替するものではないことを示している。したがって、温帯林の生物多様性の把握・保全対策をする際には、垂直層間の生物群集の違いを考慮する必要がある。
著者氏名 ○吉田智弘1 ・ 石塚達也2
著者所属 1東京農工大学農学部FSセンター ・ 2東京農工大学大学院農学府
キーワード 林冠, 下層, 昆虫, 季節変化
Key word forest canopy, understory, insects, seasonal change