第136回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

T4. 樹木根の成長と機能[Development and function of tree roots]

日付 2025年3月21日
開始時刻 11:15
会場名 N31
講演番号 T4-8
発表題目 幹周囲の根がもたらす土壌崩壊防止力の樹種間の比較
Comparison of soil reinforcement around tree stem by roots between tree species
所属 兵庫県立大学
要旨本文 日本は国土の約6割が山岳地帯であり、その多くで土砂災害の危険がある。これらの地域では、森林の樹木の根が土壌崩壊防止力として貢献していることから、それら林分や個体スケールで評価する試みがおこなわれてきた。しかし、これらの研究では、幹周囲に不均一に分布する根が与える影響はいまだ考慮されていない。また根の形状は樹種に特有であるが、幹周囲の崩壊防止力が樹種間で異なるかどうかを明らかにした例も見られない。従って本研究は、兵庫県の山岳地に成立する二次林において、①幹周囲の土壌崩壊防止力の変化、②樹種間の比較、を目的とした。2020-22年に、ヒサカキ、ヤブツバキ、タムシバの三種を対象に掘削調査を行い、根の本数やサイズのデータを得た。その後、得られたデータを、土壌崩壊防止力を推定するモデルRBMwに適用し、立木からの距離に伴う崩壊防止力の変化を求めた。その結果、最大土壌崩壊防止力は、全樹種ともに幹に近いほど高くなった。また、最大崩壊防止力はタムシバが最も高く、その時の変位はヤブツバキが最も大きかった。これらの結果から、幹に近い根はより高い土壌崩壊防止力を持ち、種間で防止力の発揮パターンが異なることが分かった。
著者氏名 ○藤井杏佳1 ・ 山瀬敬太郎2 ・ 平野恭弘3 ・ 藤堂千景2 ・ 谷川東子4 ・ 池野英利5 ・ 檀浦正子6 ・ 森健介1 ・ 大橋瑞江1
著者所属 1兵庫県立大学環境人間学部 ・ 2兵庫県農林水産技術総合センター森林林業技術センター ・ 3名古屋大学環境学研究科 ・ 4名古屋大学大学院生命農学研究科 ・ 5福知山公立大学情報学部 ・ 6京都大学大学院農学研究科
キーワード 土壌崩壊防止力, 根系分布, RBMwモデル, 広葉樹
Key word Soil reinforcement, Root system distribution, Root Bundle Model with Weibull survival function, A broad‐leaved tree