第136回日本森林学会大会 発表検索
講演詳細
T5. 森林の放射能研究[Research on radioactivity in contaminated forests]
日付 | 2025年3月21日 |
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開始時刻 | 14:45 |
会場名 | N21 |
講演番号 | T5-3 |
発表題目 | 森林から渓流生態系への枯死葉を介した放射性セシウムの移行解明 Radiocesium transferring from forests to headwater streams via leaflitter |
所属 | 福島大学 |
要旨本文 | 渓流生態系では、一次生産物を渓畔林から供給される枯死葉等の、系外の有機物に主に依存している。すなわち、渓畔林を含む森林に放射性セシウムが沈着すると、渓流生態系も食物網を介して放射性セシウムが移行、拡散していくと予想される。そこで、2020年から福島県中・東部において、渓畔域に生息する樹木の生葉及び林床の枯死葉、渓流内に堆積する枯死葉及び水生昆虫を採取し、セシウム137濃度を測定してきた。加えて、人工的環境下で枯死葉を水生昆虫に摂食させ、樹木が吸収したセシウム137の水生昆虫への移行過程を明らかにした。生葉のセシウム137濃度が最も高く、枯死・落下後は濃度が減少し、さらに渓流中の枯死葉は、渓畔より低濃度になった。この林床と渓流における濃度の違いは、落葉期直後の11月~12月でも、時間経過後も同じであった。水生昆虫は渓流中の枯死葉よりもセシウム137濃度が低くなり、渓流生態系では、枯死葉由来の放射性セシウムによる生物濃縮は認められなかった。しかし、渓畔樹木の放射性セシウム汚染は、渓流生態系の汚染に影響を与えるため、森林の放射性セシウム汚染が継続すると、渓流生態系の汚染も継続することが示唆された。 |
著者氏名 | ○金指努 ・ 和田敏裕 |
著者所属 | 福島大学環境放射能研究所 |
キーワード | 福島第一原子力発電所事故, 渓畔林, カクツツトビケラ, 水生昆虫 |
Key word | Fukushima Dai-ichi Nuclear Power Plant accident, Riparian forest, Lepidostomatidae, Aquatic insect |