第136回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

T6. ネットゼロ社会における森林の役割[The Role of Forests in a Net Zero Society in Japan]

日付 2025年3月21日
開始時刻 15:45
会場名 S22
講演番号 T6-6
発表題目 フラックスタワー下のヒノキ林における積み上げ法による炭素収支の推定
Biometric-based estimates of carbon balance in a Japanese cypress forest beneath a flux tower.
所属 京都大学
要旨本文 生態系炭素収支の推定には生態学的手法や微気象学的手法が用いられるが、いずれの手法もその仮定に起因する不確実性を含むため、手法間の比較により推定値の信頼性を検証する必要がある。本研究ではヒノキ人工林において積み上げ法および渦相関法を用いて炭素収支を算定し、植生や気候特性の異なる森林との比較により炭素動態の違いが炭素収支に及ぼす影響を調べた。調査地である桐生水文試験地(滋賀県大津市)は1959年に植栽された無間伐のヒノキ人工林であり、2001年から渦相関法による二酸化炭素交換量の連続観測を行っている。観測タワー周辺での毎木調査、リター生産量、土壌呼吸量、根呼吸量、枯死木の分解速度の実測に基づくコンパートメントモデルを構築し炭素分配を調べた。当試験地における2017年から2023年の成長量、枯死量、NPP、土壌呼吸量、積み上げ法によるNEP、および渦相関法によるNEE、GPP、REを、暖温帯広葉樹二次林、冷温帯広葉樹二次林、および冷温帯スギ人工林で報告された値と比較すると、天然性の二次林と比較して人工林の渦相関法に基づくGPPや積み上げ法に基づくNPPはいずれも極めて大きく、このため炭素固定量も大きくなることが確認された。
著者氏名 ○佐藤薫 ・ 小杉緑子 ・ 陳思羽 ・ 神谷有咲
著者所属 京都大学大学院農学研究科
キーワード 炭素動態, NEP, ヒノキ, 人工林
Key word Carbon Dynamics, NEP, Cypress, Plantation